
VMwareスナップショットとは?
仮想マシンは、仮想ディスク(VMDK)ファイルに保存されています。このファイルは、OSやアプリケーション、データなど、仮想マシン全体の構成要素を含んでいます。しかし、ソフトウェアのアップデートや設定変更などを行う際、予期せぬ問題が発生する可能性があります。このような場合に、仮想マシンの状態を保存しておき、問題発生時に簡単に以前の状態に戻せる機能が、VMwareスナップショットです。
スナップショットは、仮想マシンの特定時点の状態を記録したものです。この記録には、仮想ディスクの内容だけでなく、メモリ上のデータも含まれます。そのため、スナップショットを取得した時点の仮想マシンの状態をほぼ完全に再現できます。
スナップショットのメリット・デメリット
スナップショットの主なメリットは以下のとおりです。
- 変更前の状態への迅速な復元
- テスト環境の構築
- 障害発生時の迅速な復旧
一方で、デメリットとしては以下のようなものがあります。
- パフォーマンスへの影響
- ディスク容量の消費
スナップショットとバックアップの違い
スナップショットは、仮想マシンの状態を一時的に保存する機能であり、バックアップとは異なります。バックアップは、データの長期的な保管や災害復旧などを目的として設計されています。スナップショットは、一時的な状態保存を目的とするため、長期的なデータ保存には適していません。正しく使い分けることが重要です。

VMwareスナップショットの仕組み
スナップショットは、仮想マシン全体の特定時点の状態を保存する機能です。仮想マシンの設定、ディスクファイル、メモリ状態などが含まれます。この仕組を理解することで、スナップショットを効果的に活用できます。
スナップショットの種類(メモリ含む/含まない)
スナップショットには、メモリ状態を含む場合と含まない場合があります。メモリ状態を含めることで、仮想マシンをスナップショット取得時の状態に完全に復元できます。
スナップショットの作成プロセス(差分ディスク、リダイレクト)
スナップショット作成の手順は以下の通りです。
- まず、スナップショット作成時点で仮想ディスクを読み取り専用にします。これにより、その時点の状態を保存します。
- 次に、差分ディスク(-delta.vmdk)を作成します。これは、スナップショット作成後の変更を保存するための新たな仮想ディスクです。
- 仮想マシンへの変更はすべて差分ディスクに書き込まれます。元の仮想ディスクは変更されません。
スナップショットチェーンと子ディスク、親ディスクの関係
複数のスナップショットを作成すると、「スナップショットチェーン」が形成されます。最新の差分ディスクが子ディスクとなり、その前のスナップショットの差分ディスクが親ディスクとなります。このチェーンは、仮想マシンの状態を時系列で追跡することを可能にします。
スナップショットファイルの保存場所と種類 (.vmsn, -delta.vmdk, .vmsd)
スナップショットファイルは、仮想マシンの構成ファイル(.vmx)と同じ場所に保存されます。主なファイルの種類は以下の通りです。
- .vmsn:メモリ状態を保存したファイル(メモリを含むスナップショットの場合)
- -delta.vmdk:差分ディスクファイル
- .vmsd:スナップショットのメタデータを含むファイル
スナップショット取得時の仮想マシンの状態は、スナップショット作成時の設定、ディスク内容、メモリ内容が保存されます。
VMwareスナップショットの使い方
VMwareでスナップショットを作成、リストア、削除する方法をそれぞれ解説します。vSphere Clientを使った操作方法を例に説明します。
スナップショットの作成方法(vSphere Client, CLI)
vSphere Clientで対象の仮想マシンを選択し、[操作]メニューから[スナップショット]>[スナップショットの取得]を選択します。スナップショットの名前と説明を入力し、[OK]をクリックします。仮想マシンが起動中の場合は、メモリを含めるかどうかのオプションを選択できます。
スナップショットのリストア方法
リストアするスナップショットを選択し、[操作]メニューから[スナップショット]>[スナップショットに戻す]を選択します。確認ダイアログで[はい]をクリックすると、仮想マシンがスナップショット取得時の状態に戻ります。
スナップショットの削除
スナップショットを削除するには、2つの方法があります。1つは個別に削除する方法で、もう1つはすべてのスナップショットをまとめて削除(統合)する方法です。
個別に削除する場合は、削除したいスナップショットを選択し、[操作]メニューから[スナップショット]>[スナップショットの削除]を選択します。すべてのスナップショットを削除する場合は、[すべてのスナップショットを削除]を選択します。後者は、すべての差分ディスクがベースディスクに統合されます。スナップショットを削除する際は、仮想マシンへの負荷を軽減するため、可能であれば仮想マシンを停止した状態で行うのが望ましいです。また、スナップショットの削除には時間がかかる場合があるので、余裕を持って作業を行いましょう。
アレックスソリューションズでは、IT未経験からグローバルエンジニアに育て上げる会社です!
アレックスソリューションズでは、IT未経験からグローバルエンジニアを育成することに特化した研修制度を用意しています。入社前に不安を抱える方でも安心してスタートを切れるよう、実践的な研修プログラムを提供しています。

未経験でも安心の充実した研修内容
- IT基礎研修: PCの分解からWindows操作、Excel、PowerPointなどの業務アプリケーション、トラブルシューティングまで、ITエンジニアの基礎を網羅的に学習します。
- 実際にPCを分解し、マザーボードやCPUなど、内部構造を理解することでハードウェアへの知識を深めます。
- Windowsをビジネスレベルで活用するための操作方法を習得します。
- 業務で必須となるExcelでのデータ分析やPowerPointでのプレゼンテーション資料作成スキルを磨きます。
- トラブルシューティング体験を通して、お客様対応の基礎を学び、実践的な問題解決能力を養います。
- IT業界の現状や弊社の事業領域に関する知識を深め、業界への理解を促進します。
- 専門研修: ネットワークエンジニア、サーバーエンジニアといった専門分野の基礎知識を学びます。
- 弊社の主力事業であるネットワークエンジニアリングの基礎を習得します。
- ITインフラに不可欠なサーバーエンジニアリングの基礎知識を身につけます。
- 英語研修: グローバルな活躍を目指すエンジニアのために、ビジネス英語とIT用語を組み合わせた実践的な英語研修を実施します。
- IT関連の基礎英語から、技術文書の作成、電話対応、トラブルシューティングまで、幅広いビジネスシーンを想定した内容です。
アレックスソリューションズは、未経験の方でも安心してITエンジニアとしてのキャリアをスタートできるよう、全面的にバックアップします。世界で活躍するエンジニアを目指せる環境で、あなたの可能性を広げませんか?詳しくはバナーをクリック!

VMwareスナップショットの運用上の注意点
スナップショットは便利ですが、運用には注意が必要です。パフォーマンスへの影響、容量の管理、そして長期保存の回避について理解しておきましょう。
パフォーマンスへの影響:スナップショットを使用すると、差分ディスクへの書き込みが発生するため、通常よりもパフォーマンスが低下する可能性があります。特に、I/O負荷の高いシステムでは影響が大きくなるため、注意が必要です。
容量管理:スナップショットは差分ディスクを作成するため、ディスク容量を消費します。スナップショットを複数作成したり、長期間保存したりすると、ディスク容量が不足する可能性があります。定期的にスナップショットを削除するか、十分なディスク容量を確保する必要があります。
項目 | 内容 |
---|---|
パフォーマンスへの影響 | 差分ディスクへの書き込みにより低下 |
容量管理 | 差分ディスクにより消費が増加 |
長期保存 | 差分ディスク肥大化により統合が困難に |
長期保存の回避:スナップショットはバックアップの代替手段として設計されていません。長期保存すると、差分ディスクが肥大化し、スナップショットの統合が困難になる場合があります。定期的にスナップショットを削除し、適切なバックアップ戦略を立てることが重要です。
VMware製品とスナップショット機能
VMwareの様々な製品でスナップショット機能がどのように活用できるかを見ていきましょう。製品ごとの違いを理解することで、それぞれの環境で最適な運用を行うことができます。
製品名 | スナップショット機能の特徴 |
---|---|
VMware ESXi | ホストに直接アクセスしてスナップショットを作成・管理。vCenter Serverと連携することで、より高度な管理が可能になります。 |
vCenter Server | 複数のESXiホストを一元管理し、スナップショット操作もまとめて実行できます。 |
VMware Workstation | デスクトップ環境で仮想マシンを扱う際に、手軽にスナップショットを作成・リストアできます。気軽にテスト環境を作成するのに役立ちます。 |
VMware Fusion | macOS上で仮想マシンを扱う際に、Workstationと同様にスナップショット機能を利用できます。 |
それぞれの製品でスナップショット機能の利用方法は若干異なりますが、基本的な仕組みは同じです。スナップショットは仮想マシンの状態を保存し、必要に応じてその時点に戻ることができるため、様々な場面で役立ちます。ただし、スナップショットはあくまで一時的なものとして使用し、長期的なバックアップとしては使用しないように注意しましょう。
まとめ
VMwareのスナップショット機能は、仮想マシンの状態を一時的に保存し、必要に応じて以前の状態に戻せる便利な機能です。しかし、安易な利用はパフォーマンス低下やディスク容量不足につながる可能性があります。スナップショットは一時的な状態保存を目的とした機能であり、バックアップの代替として利用すべきではありません。運用時は、作成・削除を適切に行い、長期的な保存は避けましょう。
効果的な活用方法としては、以下の3点が重要です。
- 短期的な利用:
アップデートや設定変更などの作業前にスナップショットを作成し、問題発生時には迅速に以前の状態に戻せるようにすることで、作業の安全性を高めます。作業完了後は、速やかにスナップショットを削除しましょう。 - パフォーマンスへの影響を最小限に:
スナップショットは、差分ディスクへの書き込みを行うため、パフォーマンスに影響を与える可能性があります。パフォーマンスへの影響を最小限にするには、スナップショットを保持する期間を短くし、不要になったらすぐに削除することが重要です。 - 定期的な統合:
スナップショットを長期間保持すると、差分ディスクが肥大化し、パフォーマンスの低下やディスク容量の圧迫につながる可能性があります。定期的にスナップショットを統合することで、これらの問題を回避できます。

FAQ
Q. スナップショットとバックアップの違いは何ですか?
A. スナップショットは仮想マシンの状態を一時的に保存する機能ですが、バックアップは仮想マシン全体のデータを別の場所に保存する機能です。スナップショットはバックアップの代替として利用すべきではありません。
Q. スナップショットを削除できない場合はどうすれば良いですか?
A. スナップショットマネージャーで削除できない場合は、コマンドラインツールを使用する方法があります。
Comments are closed